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恋愛小説:さぁ、どっち?

さぁ、どっち? case1 (6)


あなたが帰宅すると、珍しく男のほうが先に帰っていた。

「おかえり。まずは、風呂に入って来たら?」

玄関で靴を脱いでいると、男の声がキッチンのほうから聞こえた。
珍しいことを言うものだと思いながらキッチンに向かうと、男がエプロン姿で現れたので、なお驚くあなた。

「どうしたの、その恰好」
「今日は俺が作ってみた」
「そう」

そんなことまでして、と男の様子があなたにはちょっと可笑しかった。
勧められるまま、あなたはバスルームへ向かう。

お風呂上りのさっぱりしたところで、キッチンへ行くと男が食事を整えて待っていた。

「料理、あんまりレパートリーがなくて、カレーとサラダだけなんだけど」

少し照れた様子で男はそう言うと、冷蔵庫から冷えたビールとグラスを取り出し、あなたについでくれた。

「お疲れさま」
「お疲れさま」

グラスを合わせてひと口飲む。お風呂上りの乾いた喉にビールは最高のごちそうだ。

「美味しーい」
「カレー、どうかな、食べてみて」

男に勧められ、ひと口食べるあなた。

「うわ、ちょっと辛いけど、でも美味しい」
「良かった」

素直に笑顔になる男。
和やかに食事は進んでいった。


「で、今朝、話したと思うけど」
デザートの桃を食べながら、あなたが切り出した。

「うん、その話なんだけど、考え直してもらえたかな?」
男がにこやかに尋ねる。

「えぇ」
「そうか、良かった」

「変わらないわ、今朝からずっと」
「えっ?」

男のあっけにとられた顔を見つめながら、あなたはとどめを刺す。

「同棲解消を希望します」

「そんな。だって、今日、俺、ご飯作ったし」
「美味しかったわ。ありがとう。でも、それとこれとは別の話よ」
「なんで」
「だって、もう決めたことだから」
「もう一度、考えてくれないか」
「今朝、そう言われて考えたじゃない?」
「それで同棲解消になるわけ?」
「えぇ」
「それで、ほんとにいいの?」
「いい」
「俺はイヤだ」
「じゃあ、どうしたらいいの」
「今まで通り一緒に暮らそう」
「それじゃ、何も解決しないわ」
「…………」

男は目を伏せ、あなたの言葉を黙って待っている。




『さぁ、どっち?』
あなたは人生の岐路に立っています。どっちに進みますか?

A.「やっぱり、変わらないわ。同棲やめましょう」
   ↓
【さぁ、どっち? case1 (7)A は、こちらへ】


B.「わかったわ。その代り、約束して。家事の分担、これからはちゃんと守るって」
   ↓
【さぁ、どっち? case1 (7)B は、こちらへ】






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恋愛小説:さぁ、どっち?

さぁ、どっち? case1 (5)


翌日になった。
ふたりとも朝から仕事の日だ。

あなたは決心が変わらないうちに、男に告げた。

「ねぇ、わたしたちの同棲、解消しましょう」
「えっ?」

起き抜けに言われた男は、目をパチパチさせている。
「いきなり、なんだよ」

「前から思ってたことよ」
「どういうこと?」
「わたし、独り暮らしに戻りたいの」
「なんで」
「同棲って思ってたより大変だったから」
「俺は楽しいほうが大きかったけど」
「そりゃ、あなたはそうでしょう。黙っててもご飯が出てきて、洗濯もしてもらえて……」
「俺だって洗濯してたよ」
「最初のころ、たまにね」
「そんなこと……」
「そうじゃない? 洗い物だって、いつの間にかしなくなったし」
「そんな……」

だんだん男の反論する言葉が短くなり、あなたはやっぱり間違っていなかったのだと確信する。

「今、決めなくてもいいだろ?」
男が苦しまぎれに言った。

「早いほうがいいでしょ」
「朝からこんなこと、いきなり言われたって」
「朝だから、いいのよ。夜は冷静な判断ができないかもしれないけど、朝ならできるわ」
「俺は起きたばっかりで、まだ頭が働かない」
「もう決めたの」
「ちょっと考え直すとか、ないの?」
「え?」
「せめて猶予をくれないか。勝手に決められても……」
「猶予?」
「今日、晩ごはんのときに話し合おう」
「わかったわ」

あなたは、もう答えは決まっていたけれど、これ以上朝から男と議論するのも嫌だったので納得することにした。




【さぁ、どっち? case1 (6)に続く】






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さぁ、どっち? case1 (4)


「ただいま」
「おかえり」

あなたが帰宅したのは、午後五時。まず、ベランダをチラッと見る。男は無反応だ。
次にソファを見る。男が座っている隣には、クッションしかない。
まさか、洗濯物、全部畳んでタンスにもう仕舞ってくれてる?

淡い期待とともに、ベランダに出るあなた。
そのとき、男が慌ててソファから立ち上がった。

「今しようと思ってたんだよ」
「…………」

あなたは聞こえないふりをして、朝からベランダに干しっぱなしだった洗濯物を、やや乱暴に取り込み始めた。

「手伝うよ」
男が部屋の中から、あなたの様子をうかがいながら声をかけた。

「手伝うですって?」
あなたは大きく目を見開き、男を凝視した。

「あとは俺がやるから」
「出かけるときにお願いしてたわよね?」
「あぁ、だから今からやるよ」
「もう五時よ!」
「だから、やるって言ってるだろ!」

あなたの語気が強まったのを受けて、男も不機嫌モード全開に。
あなたは心の中でつぶやく。
「不合格」

男とそれ以上口論するのも嫌だったので、あなたは洗濯物を男に任せ、洗面所へ行き、手洗いとうがいをした。
そして、何事もなかったかのように、晩ごはんの支度を始めた。
いつまでも気分の悪いままいることは、自分自身にとってもマイナスだ。

食事は淡々と進んだ。食器洗いを男がすることになっていたが、あなたは敢えて何も言わずに自分でさっさと洗い始めた。
男は「これもよろしくー」と、慌てて自分の食器をキッチンに運んできた。
本来は自分がすべきことなのに、とあなたは内心腹立たしく思いながらも、無言で受け取ると一緒に洗った。

「決めた」
水道の音にかき消されて、男には聞こえなかった、あなたの決断の言葉。


【さぁ、どっち? case1 (5)に続く】






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Author:cafe sanur

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