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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode18 野球観戦(12)


姫は男を安心させるように、努めて明るく言った。
「じゃ、ひとつだけ。ダメージジーンズ以外にして」
「あ。やっぱ、まずいですか」
「ううん。個人的にきれい目なほうが好きなだけよ」
「りょーかい!」
「お腹空かして来てね」
「え? ご飯も?」
「だって、わざわざ来てもらうんだもん。受け取って『はい、じゃあね~』じゃ、ちょっと淋しくない?」
「うん」
「じゃ、明日ね。楽しみにしてるわ」
「僕も楽しみです」
「このあとも、バイト頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
「あ、あとで、ケータイに一度掛けてみるから。それがわたしの番号ね」
「うん、ありがとう」

男の言葉遣いが、敬語になったり、くだけたりと、コロコロ変わるのが姫には面白かった。
一生懸命丁寧に話そうとしているのに、時々素が出て無防備にポロッと零れ落ちるタメ口に愛しさを覚えていた。


          【episode18 (13)に続く】




episode18 野球観戦(1)
 は、こちらをご覧ください。
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http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-170.html




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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode18 野球観戦(11)


「明日、休み取るわ」
気がつくと、姫の口は勝手にそう言っていた。

「え? 大丈夫なんですか」
「わかんない」
「無理しないで」
「なんだかね、君にまたすぐ会いに来たい気分なの」
「だったら、僕が行きます。お姉さんの会社まで」
「でも、明日、君はここでバイトなんでしょ?」
「僕が休みます」
「大丈夫?」
「うん」
「無理しないで」
「あ、おんなじこと言ってる」
そう言うと、男はうれしそうに笑った。

「じゃ、明日、Kホテルに夕方6時に来て」
「ホテル?」
「そう」
「なんか緊張するな。僕、ホテルで人と待ち合わせたことないから」
「明日、日曜でしょ? 駅の改札とか混んでるから、待ち合わせてちゃんと会えないと嫌なの」
「わかりました。どんな服着て行ったらいい?」
「え? なんだっていいわよ」
「だって、ホテルでしょ?」
「大丈夫よ。普段の恰好で」
「でも……」
男は不安そうに口ごもった。



          【episode18 (12)に続く】




episode18 野球観戦(1)
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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode18 野球観戦(10)


「で? わたしはどうしたらいいの?」
姫は先ほどよりややキリッとした表情で、男に尋ねた。

「今度、お姉さんが来るとき、教えてください。その日に僕、バイト入れますから」
「でも、いつになるかわからないし」
「いいです。いつでも入れるように空けときますから」
健気にそう言うと、男はニコッと笑った。

今まで申し訳なさそうに、終始うつむき加減だった男が、初めて顔を上げキュートな笑顔を見せた。
深々とかぶっていたキャップのせいで気づかなかったけれど、澄んだ瞳がキラキラしていてとても眩しい。

そう言えば、この子、謝るときも帽子かぶったままだったんだ、と今ごろになって些細な非常識さにも姫は気づいたが、むしろ若さゆえ気が回らなかったのだろう、と良いように解釈した。

まっすぐ姫を見つめる真摯なまなざし。
姫にすべてをゆだねている、ピュアな感じがたまらなかった。

姫のハートが、キューピッドの矢で射抜かれた瞬間だ。



          【episode18 (11)に続く】





episode18 野球観戦(1)
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