『わた姫』 ~珈琲 break~

『わた姫』 ~珈琲 break~ 20160630


こんにちは、姫です。

いつも、わたしの拙いお話を聴いてくださって、ありがとうございます!

今日で6月が終わりますね。

わたしの初めてのお話「三日月」から、半年余りが過ぎました。

その間、いろいろなことがありました。

まだまだ、お話したいこと、ほんとは、たくさん、あるんです。

でも、ちょっとお休みしようかな。

短い間でしたが、こちらへ遊びに来て下さったみさなまには、心から感謝しています。

気紛れな姫のこと、ふらっとまたお話を始める日が来るかもしれません。

そのときは、どうぞ、またよろしくお願いしますね。

ありがとうございました。








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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode21 ブローティガンの詩集(9)


ブローティガンは半年も待たされたのに、ふたりの仲を取り持つのに一役買ってくれた。
きっとこの本は、今後も姫と男の間を取り持ってくれるだろう。

どんなに想いを伝えても、哀しいけれど届かないときは届かない。
すべてはタイミングなのだ、と姫は思う。
だから、気づいたのがきっと今で良かったのだ、と。

この世の中に、間違いなんてきっとひとつもないのだろう。
すべての出来事は、偶然のように見えて、寸分違わぬタイミングで、起きている。

タイミングが合わなくて、もしもうまくいかないように見えたら、きっと今はそのときじゃないのだろう。
でも、あきらめたらおしまい。

想いは、きっと、叶うから。



          【episode21 終わり】




ブローティガンの詩集(1)
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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode21 ブローティガンの詩集(8)


「ねぇ。今、ブローティガン、手に持ってるんだよね?」
男がどことなく、悪戯っぽい口調で言った。

「うん。え? まだ何かあったの」
「ううん、今思いついたんだ」
「なぁに?」
「姫は池澤夏樹さんのファンだから、ブローティガンの詩じゃなくて、訳のほうで言うね」
「うん、なんだろう」

「『こんなに優しくやってもらったことはなかった』っていう詩があるんだ」
「うん」
「それ、お願いしてもいい?」
「え? わたしが何かするの?」
「うん。その詩、読んでくれたらわかるから」
「うん、わかった。読んでみるね」
「その通りにしてくれたら、今日まで姫が気づかずにいたこと、赦してあげる」
「わかったわ。じゃ、読んだらすぐ行くから」
「ありがとう。待ってるよ」
「うん。ありがとね」

男が先に電話を切ったのを確認してから、姫も切った。
思い切って電話して本当に良かった、と姫は心の底から思った。
そして、はやる心を抑えて、男の指定した詩のページを探し始める。

あった。これだ。
引用してみる。



こんなに優しくやってもらったことはなかった
                       ―Mに

きみの口の甘いジュースは
蜂蜜を浴びた城のようだ。
こんなに優しくやってもらったことはなかった。
きみは城の輪をぼくの  (以下略)



ちょっと赤面。
でも、これは赦してもらうためだし、仕方ないわね。
姫は自分に言い聞かせると、片づけもそこそこに、シャワーを浴びて歯磨きをすると、いそいそと男の新しい家に向かった。



          【episode21 (9)へ続く】


☆参考文献☆

『チャイナタウンからの葉書』
R.ブローティガン 著
池澤夏樹 訳
株式会社 筑摩書房
2011年5月10日 第一刷発行







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