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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(9)


いよいよオーストラリアでの最後の夜。

同じツアーのみんなに声をかけて、打ち上げパーティーをすることにした。
姫が、「スーパーで買ったステーキ肉が美味しかった」と言うと、「じゃあ、そうしよう」と、みんなが賛成して、役割分担することになった。

陽子ちゃんグループ二人が、「わたしたち、買い出し班」と言い、戸川グループが「俺たち、ドリンク担当」と言った。
姫が、「じゃあ、わたしたちが作るね」と言うと、大輔グループが「じゃあ、俺たちの部屋提供」と言った。
もうひとつの女性グループは、何の反応もなかったので、一応「どうします?」と尋ねると、「わたしたちは外で食べるからいいわ」とそっけない返事。

ツアーの最初から、この女性ふたり組はあまり姫たちと接点がなく、ずっとふたりで別行動をしていたので、まあ当然かなとも思った。
最後だから一応みんなに声をかけた、という程度のお誘いだったので、むしろちょうどよかったのかもしれない。
よく見ると、姫たちより年上っぽい感じ。もしかしたらOLとかで、卒業旅行ではなかったのかもしれない。


パーティーは夜七時スタートの予定だったので、昼間のうちにビーチで写真を撮ったり、大型ショッピングセンターでお土産を買ったりして最後の一日を満喫した。

姫たちは、昨夜に引き続きステーキを焼いた。
でも、三人分の料理を作るのとはわけが違い、十三人分のステーキを焼いたり、付け合せの野菜を炒めたり、果物を切ったりという作業は思いのほか時間もかかりハードだった。

陽子ちゃんたちが、「買い物班」と即座に楽な役割を取ったのは賢い選択だったようだ。
そんな大変な思いをしている姫たち三人を、ちっとも手伝ってくれようとしない。
リビングから、大輔たちとの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

少し彼女たちを恨めしく思いながら料理していたら、意外なことに馬場がキッチンに入って来た。
「よう、大丈夫?」
「うーん、なんとか」
リナが答える。

「なんか、手伝おうか?」
「ありがとう。じゃ、お願いしていい?」
「うん、何する?」
「お皿に盛りつけていってくれる?」
「OK」
リナの指示で、馬場が食器棚から適当にお皿を出してきては、さっさと付け合せの野菜を盛り付けてゆく。

「うわぁ、馬場くん、手際いいし彩りも綺麗ね」
思わず、姫が感嘆の声を上げる。

「俺んち、寿司屋だからさ、食べ物扱うのには慣れてんだ」
「そうなんだ。すっごく助かるぅ。で、どこでお寿司屋さんやってんの?」
「新大久保」
「……よくわかんない」
「そっか、京都だもんな。今度うちに食べにおいでよ。ごちそうするから」
「えー? 本当? 行く行く。いつかわかんないけど(笑)」

姫と馬場が笑いながらふたりでやっていると、戸川もキッチンに入って来た。

「戸川、お前も手伝え」
馬場に言われて、戸川が姫の指示を待つ。

「そうねぇ、じゃ、戸川くんは果物お願いしていい?」
「うん。どうしたらいい?」
「そこのオレンジ、くし形に切っていってくれる?」
「わっ、オレンジ、こんなにいっぱい?」
「だって、戸川くん、オレンジ好きでしょう? だから、多めに買って来たの」
「ん? なんで、俺が好きって知ってるの?」
「いつだったか、バイキングのときいっぱい食べてるの見たから」
「えっ?」

戸川が赤くなった。しまった、と思ったけどもう遅い。

「あ、わたしも好きなんだ。だから、みんなで食べようと思って」
慌てて姫が付け加える。
「そうだったんだ?」

戸川と姫が話していたところへ、しずちゃんが割り込んできた。
「戸川くん、わたしもオレンジ好きだよ」
「そうなんだ? みんな、好きでよかった。美味しいもんね」

リナは無言でステーキを焼いている。
それを馬場が後ろで黙って見ている。
やっぱり、馬場はリナのことが気になるようだ。


          【episode12 卒業旅行(10)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-85.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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