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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(12)


午前零時を過ぎ、ポツリポツリと部屋に戻る人が増えた。
明日の朝にはここを発つのだ。姫たちも引き上げることにした。

そして、姫は明け方近くまでかかって、ようやく荷造りを終えた。
お土産が増えて、スーツケースはパンパンになっている。

ベッドに入ってうつらうつらしたと思ったら、もう朝食の時間だった。
食欲もあまりなかったので、果物だけ少し食べてチェックアウトの準備をする。


海沿いを走りながら、バスはまっすぐ空港へと向かう。
長いようで短かった一週間の旅も、終わろうとしていた。

昨夜、長瀬に頼まれた戸川とのツーショット写真だが、別に戸川は何も言ってこなかったので、そのままになっていた。
バスの席も姫たちとは離れていたので、もういいかなと思っていた。
それに、もし姫が戸川とふたりで写真を撮っていたら、きっと目ざといしずちゃんのこと、何を言い出すかわからない。
そんなことも考え、あえて姫からは触れないことにした。


ブリスベーンの国際線待合室で、出発までまだ時間があったので、みんなで最後の記念撮影をした。
それぞれのカメラで、飛行機をバックに何枚も集合写真を撮ったり撮られたり……。

そのうち、長瀬が姫に近づいて来た。
「姫さん、ちょっと」
「なに?」
「ちょっと来てくれる?」

リナとしずちゃんに「ちょっと行ってくるね」と言って、長瀬の後に従った。
ちょうどみんなからの死角になるようなところに、戸川が待っていた。

「ほら、戸川、早く」
長瀬に促されて、戸川が姫のほうにやってきた。

「姫さん、一枚だけ、こいつと一緒に撮ってやって」
「うん、わかった」

戸川は何も言わない。照れているみたいだった。

「ほら、笑って笑って」
長瀬が姫と戸川に向かって言ったので、姫は長瀬にとびきりの笑顔を向けた。
長瀬がすばやくシャッターを切る。

「あ、ありがとう」
やっと戸川が口を開いた。

「いいえ~。じゃ、戻るね。リナたち、待ってるから」
「うん。あ、姫さん、もしよかったら、この写真、送るから、あの、住所……」
「送ってくれるの? ありがとう。ちょっと待ってね」

さっきお菓子を買ったときにもらったレシートの裏に、姫は急いで京都の住所を書いて戸川に渡した。

「じゃ、日本に帰ったらすぐ送るね」
「ありがとう、すぐじゃなくてもいいけど(笑)」
「いや、すぐ送るよ」
「ありがとう。楽しみにしてるね」
「うん」
「じゃ、行くね」
「うん」





          【episode12 卒業旅行(13)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-85.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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