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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(14)


日本はやはりまだ寒かった。
途中、トランジットでシンガポールに着いたときは、オーストラリアを出たときのままの夏服だった。
しかし、成田に着いたとたん寒くて、慌てて空港のトイレでみんな冬服に着替えた。

思いっきり、非日常から日常に戻った瞬間だ。
明日からまた、現実の生活が始まるのだ。

ツアーの仲間たちと名残惜しそうに成田で別れ、姫たち京都組は新幹線に乗るため東京駅に向かった。
しずちゃんは実家の名古屋に帰ると言うので、名古屋から京都までは姫とリナのふたりだった。

「なんだか夢のような毎日だったね」
ふたりになってから、しみじみとリナが言った。

「そうだね。なんか、気が抜けちゃいそう」
「……いろんなことがあったよね」
「うん、ほんとに楽しかった」
「来週は卒業式だよ、早いね~」
「あ~、もう学生じゃなくなるんだ~」
「なんかまだ信じらんないけど」
「ほんと。わたしたち、ちゃんと働けるのかなぁ」
「でも、姫と同じとこに決まって、正直心強いわ」

「わたしもよ。……それよりさ、馬場くんから、なんか言われたりした?」
「なんかって?」
「ほら、写真一緒に撮ろうとか」
「ううん、なんで?」
「実はね、しずちゃんがいたからずっと言えなかったんだけど、ブリスベーン空港で長瀬くんに呼ばれたじゃない?」
「うん」
「あれね、戸川くんと写真撮るためだったの」
「え~? どういうこと?」
「前の晩に、バルコニーで長瀬くんに頼まれたの。戸川くんがわたしとふたりで写真撮りたがってるから、撮ってやってって」
「そうだったんだ」
「うん」

「だけど、姫は長瀬くんのほうが良かったんだよね?」
「うん。でも、長瀬くん、彼女いるんだって」
「えっ? そんなことまで訊いたの?」
「まぁ、流れでね。先にわたしが訊かれたから、『いないよ。長瀬くんは?』って訊いたら『いるよ』って、即答されたわ」
「そんなことがあったんだ?」
「うん……。ちょっとショックだった。まぁ、でも、そういうところが彼の魅力でもあるんだけどね」
「うん」
「彼女いるのに、いないって言うヤツはサイテーでしょ?」
「そうだね」

「でね、戸川くん、その写真送ってくれるんだって」
「どこに?」
「わたしのうちに」
「え? 姫、住所、教えたの?」
「うん」
「大丈夫?」
「なにが?」
「写真送るって口実で、姫と連絡取ろうとしてるわけでしょ?」
「え~、大丈夫でしょう? だって、そんな変な人じゃなかったよ」
「でも、よく知らないじゃない? 彼のこと」
「まぁ、そうだけど。でも、わたしたちは京都だし、彼は川﨑だって言うから、別にその後どうこうってこともないでしょ?」
「うん、ならいいけど」

「でね、リナにお願いなんだけど、このこと、しずちゃんには内緒にしてね」
「うん、わかった」
「しずちゃんに知られたら、また何言い出すかわからないでしょ? そういうの、苦手だから」
「うん、OK」
「しずちゃんも戸川くんと一緒に撮ってたから、まぁ満足してるわよね?」
「うん、大丈夫なんじゃない?」





          【episode12 卒業旅行(15)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-85.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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