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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode14 入社式前日デート(1)


入社式前日の朝、姫とリナはまた京都から新幹線に乗った。
今度は別々の行き先だ。
リナは千葉に住む江崎と待ち合わせて、一緒にディズニーランドに行くと言う。
姫は新横浜で先に降り、戸川と一緒に横浜へ行く約束だった。

「じゃあ、明日、本社でまた!」
「うん、姫も戸川くんと楽しんで来てね」
「ありがとう。江崎さんによろしく」
「うん、戸川くんによろしく」


姫は新横浜でリナと別れ、改札へと急ぐ。
すぐに戸川を見つけられた。
オーストラリアで会った時と同じジーンズにシャツ、といったラフな格好。

「よく来たね、久しぶり」
戸川は、はにかんだ笑顔で姫を出迎えた。

「うん、久しぶりだね。戸川くん、元気そう」
「うん。……車、そこに停めてあるから」
「え~、車で来てくれたの?」
「うん、いろいろ案内しようと思って」
「わぁ、うれしいな」
「荷物、持つよ」
「ありがとう」

戸川は姫のバッグを持って、先に歩き出した。
「さぁ、どうぞ」
後部座席に姫のバッグを置いた戸川が、助手席のドアを開けてくれた。
白い小さな車、軽なのかな。それさえもよくわからないまま、助手席に乗り込む姫。

ふっと、学生時代につきあっていた松本さんの、赤いおしゃれな車が思い浮かんだ。
車には全く疎い姫だったので、名前も聞いたけれどすぐに忘れてしまった。
でも、ドアが上に跳ね上がる、ちょっと珍しいタイプだったことは、今でもよく覚えている。
乗り降りのたびに、外側からドアを開けてもらっていたことも……。

そんなことを思い出していると、戸川の車の甘いオレンジのような匂いに、少しむせそうになる。
「なんか、オレンジみたいな匂いがする」
「あぁ、これ、母親の車で、この芳香剤の匂いかな」
「そう」

松本さんは、ちゃんと姫の好みをわかってくれていた。
芳香剤の代わりに、いつも真っ赤なりんごが、ダッシュボードにころんとあった。
無意識に昔の男と比べている姫。

「大丈夫?」
戸川の声で、我に返る姫。
「あ、うん、大丈夫」、
そう言ったものの、フレッシュなフルーツの香りとは違って、なんだか合成の、こめかみに突き刺さるような匂いに、姫は正直少し参っていた。

「ね、窓開けていい?」
「うん、いいけど……寒くない?」
「うん、ごめん。わたし、自然児だからエアコンとか芳香剤とか苦手で、窓からの風を受けてドライブするほうが好きなの」
「ふふふっ、姫さんて、面白いね」
「そう?」



       【episode14 (2)に続く】




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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