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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode14 入社式前日デート(3)


案内されたお寿司屋さんは、ビルの中の最上階にあった。
カウンターとテーブル席とあったが、「カウンターがいいよね」という戸川の言葉に従い、ふたりで並んで座る。
おまかせにぎりを注文。時価ではなく、ちゃんと値段が書いてあってホッとする。

「ここ、眺めがいいね」
「でしょう? 好きなんだ」
「なんか、落ち着くわ」

「姫さんがね、もし、トンカツがいいって言ったら、内山のバイトしてる店に行こうと思ってたんだ」
「内山くん?」
「うん、そう」
「そうだったんだ」
「内山も姫さんのこと、気に入ってたんだ」
「そうだったの?」

姫は聞き逃さなかった。
「内山も」と確かに言った。ということは、戸川自身も姫のことを気に入っている、と受け取っていいだろう。

「最初のころ、よく内山が姫さんのそばにいたでしょう?」
「うーん、そうだったかな」
初日の、メルボルンの自由行動の時間のことを思い出した。そういえば、そうだった。

「でも、最後のほうはそばに行ってないよね?」
「うーん、そうかも」
確かに、ゴールドコーストではほとんど話していない。

「あれね、俺と内山で話し合ったんだ」
「え? どういうこと?」
「どっちが姫さんに行くかって」
「なにそれ?」
「姫さんの様子を見て、どっちが脈がありそうかって」
「え~? そんなこと……」

姫は正直びっくりした。
あの短いツアーの中で、この人たちはそんなことを考えていたなんて。
男同士って、そんなものなのだろうか。

「で、内山も納得してくれたんだ」
ということは、姫が内山より戸川といるときのほうが、うれしそうだったということ?
それが、戸川の言う「脈あり」ってこと?
そんなふうに観察されていたのかと思うと、ちょっと嫌だった。

だって、姫は四人の中では長瀬が一番好きだったんだから。
客観的に見たら、絶対長瀬と話しているときが姫は一番うれしそうだったはずだ。
それには戸川は気づいていなかったのだろうか。

「内山に言われたよ。『もし、お前が姫さんとつきあうことになったら、絶対泣かすなよ』って」
「…………」

そんな話を今されたら、まるでつきあうことが決まっているみたいじゃない?
戸川はなんでこんな話をいきなりするのだろう。

「長瀬から聞いたよ。姫さん、今つきあってる人いないんだよね?」
「うん、まぁ」
「よかったら、俺と……」
「…………」
「ダメかなぁ」
「…………」
「遠距離だから?」
「うん、それもある」
「ほかには?」
「だって、しずちゃんが戸川くんのこと、好きだって知ってるもん」
「彼女に遠慮してる?」
「うーん、遠慮っていうか、もし知ったら、きっと友達じゃいられなくなるし」
「黙ってれば? どうせ遠距離なんだし、彼女にふたりでいるところ、見られることもないと思うよ」


       【episode14 (4)に続く】




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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