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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode14 入社式前日デート(4)


なんだか、イメージが違った。
オーストラリアで見た戸川より、少し押しが強いというか……。

「戸川くんのこと、まだよく知らないし……」
本当に好きだったら、これから知りたいと思う、いつもの姫の言うセリフではない。

「これからふたりで、ゆっくり知っていけばいいよ」
「……今、返事しないと、ダメ?」
「ううん、今じゃなくていいよ」

姫のほうから逢いたいと言って、わざわざ来たものだから、きっと戸川の自信になったのかもしれない。
もしつきあうことになったとしたら、本当にしずちゃんには秘密中の秘密だ。

「わかった、じゃ、もう少し考えさせて」
「うん。いきなりでごめんね」
「うん、いきなり過ぎだよ。もう、びっくりしてお寿司がのどを通らなかったらどうしてくれるの?」
「あはは。きっとそれはないな」
「どうして?」
「姫さん、食べるときは真剣に食べる人だから」
「まぁ。否定はしないけど」

「俺、実はずっと姫さんのこと観察してたんだ」
「そうなの? なんか恥ずかしいな、そういうのって」
「でも、姫さんも俺のこと、よく見てたでしょ?」
「そう? そんなこともないと思うけど」
「だって、オレンジが好きなこと……」
「あぁ、あれはね、たまたま。いつだったか、朝食バイキングのとき、お皿に山盛り取ってるのを見ただけよ」
「そうか。でも、オレンジって食べ出すと止まらなくなるんだよな」
「そんなに好きなの?」

「うん、母親の影響かもしれないけど」
「お母さんも好きなの?」
「うん、俺んち、父親がいないんだけど」
「えっ? そうだったんだ?」
「うん、父親と出逢ったきっかけがオレンジだったらしくて、以来、母親のオレンジ好きが始まって。俺が物心ついたころには、父親はもういなかったから、写真でしか知らないんだけど、手にオレンジ持って写ってるんだよな」
「そう……」
「俺にとっては、オレンジって家族の象徴なのかもな」
「そうなのね」

メルボルンで出した、姫の結論は間違っていた。
戸川はただ単純にオレンジが好きなわけではなかった。
そこには、家族に対する深い思いがあったのだ。


美味しいお寿司を、姫は戸川にご馳走になった。
ワリカンがいいと何度も言ったのだが、わざわざ来てくれたから、という彼の言葉に結局甘えることにした。


【episode14 (5)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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