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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode16 遠距離恋愛(2)


思いがけず、また戸川と逢うことになり、姫はわくわくした。
遠距離恋愛って、もっと逢えないのかと思っていたけど、今のところ月一回ペースで逢っている計算だ。
これくらいなら、淋しくないかも。
リナたちはどうなのだろう。もっと逢えずにいるのだろうか。


四月二十日、予想通り五月のシフトが出来上がった。
ゴールデンウィーク中で休みなのは、五日のこどもの日だけだった。
本当にこの一日のためだけに、戸川は川﨑から京都まで逢いに来てくれるのだろうか。
少し心配になりながら、姫は電話してみた。

「戸川さんのお宅でしょうか?」
「はい」
「わたくし、京都の……」
「あー、姫さんね。こんばんは」
「あ、こんばんは」
姫は驚き、また戸惑いも隠せなかった。

まだ、「わたくし、京都の」しか言ってないのに……。
名前も言ってないのに、なんで初めて聞いた自分の声に対して、戸川の母親は「あー、姫さんね」と、確信を持って言えるのだろうか。

「隆之、まだ帰ってきてないの。後で電話させますね」
「はい」
「聞いてますよ、隆之から」
「え?」
「今度、京都に遊びに行くんだって、楽しみにしてたから」
「あぁ、そうだったんですね?」
戸川の母親のハイテンションぶりに、姫は少し圧倒されていた。


「あ、ちょっと待って。今、帰ってきたみたい。代わるわね」
「はい」
「(隆之~、姫さんから)」
「…………」

「もしもし、姫さん? お待たせ。ごめんね、うちの親、なんか変なこと言ってなかった?」
「え? ううん、別に」
「そう? ならよかった」


姫は気を取り直して言った。
「あのね、決まったの、休み」
「いつ?」
「五日。やっぱり一日だけしか取れなかったけど」
「うん、十分だよ」
「ほんとにいいの?」
「うん、もちろんだよ。俺、すごく楽しみなんだ。姫さんに逢えるのも、京都に行くのも」
「うん、そう言ってくれるとわたしもうれしい」
「始発で行って、最終で帰って来ようかな」
「大丈夫? 次の日からまた仕事でしょ?」
「うん、そうだけど。もし、姫さんが迷惑じゃなかったら……」
「うん、わたしのほうは大丈夫だけど……」
「じゃあ、時間調べてわかったら、また連絡するね」
「うん」
「今度はわたしがいろいろ案内してあげるね」
「うん、今から楽しみだなぁ」

「ねぇ、それより、お母さんにわたしのこと、なんて言ってるの?」
「え? 彼女って」
「そう」
「なんで? いけなかったかな?」
「ううん。ちゃんとお母さんに言ってるんだ、って思っただけ」
「変?」
「ううん、仲良いんだなって」
「うちは、ふたりだけだから」
「そっか」
「うん。母親も喜んでくれてるんだ」
「そう、よかった」
「『そのうち紹介して』って言われてる」
「うん」
「今度姫さんがこっちに来たときにでも」
「そうね。……あっ、ごめん。キャッチが入っちゃった」
「わかった。じゃ、今度は俺から電話するよ」
「うん、ごめんね。じゃ、またね」
「うん、またね」



        【episode16 (3)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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