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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode16 遠距離恋愛(3)


姫は電話を切り替えた。

「もしもし? 姫?」
「あ、リナ?」
「うん。今、いい?」
「うん。今ね、戸川くんとしゃべってたの」
「あら、お邪魔しちゃった?」
「ううん。もう切ったから大丈夫よ」
「ごめんね」
「ううん、ちょうどよかったの」

「なんで?」
リナが不思議そうに尋ねる。

「戸川くん、今度京都に来るんだけど、その話の途中で、お母さんに今度紹介するって言われたの」
「え? それって、結婚が前提、ってこと?」
「わかんない。今日わたしが電話したらお母さんが最初に出て、まだ帰ってないから、って言われたんだけど、すぐ戸川くん帰ってきたみたいで、途中で代わってくれたのね」
「うん、それで?」

「お母さんにわたしのこと、彼女だって言ってるんだって」
「へぇ、そんなこと、親に言うんだ?」
「ね? ちょっとびっくりでしょ? まぁ、お母さんとふたり暮らしだっていうから、仲良いのかもね」
「そうなんだ?」
「うん、お父さん、小さいときからいないんだって。……まぁ、それはいいんだけど、まだふたりで逢ったのって、この間の入社式の前の日の一回だけでしょ?」
「うん」
「しかも、そのときはまだつきあってるってわけじゃなかったんだよ?」
「うん。で?」
「この間の電話で、つきあうことにしたばかりなのに、もうお母さんには彼女だって言ってるし、お母さんも紹介してって言ってるなんて……」


姫の口調の、微妙な変化に気がついたリナが言う。
「ねぇ、どうしたの? 姫」
「なんか、急すぎるっていうか、わたしの気持ちが追い付かないっていうか……」
「それほど戸川くんに思われてて、しあわせじゃないの?」
「え~? でも……」
「何か問題でもあるの?」
「もしもよ、もしも、このままつきあって、いずれ結婚とかなったら……」
「結婚って、もうそんな話まで出てるの?」
「まさか? もちろん、まだだよ。だけど、親に紹介って、そういう意味かなって。だって、長瀬くんは高校生のころからつきあってる彼女がいて、親も公認だからいずれ結婚するって、戸川くん言ってたし……」
「だから、姫と結婚するつもりで、戸川くん、親に紹介するって言ったってこと?」
「うーん。だとしたら、ちょっと考えちゃう」

「どうして?」
「戸川くんのお父さん、日本人じゃなかったんだって」
「それが理由?」
「うーん、なんか不安」
「どうして?」
「なんか、よくわかんないけど」
「そう。でも、今はそこまで考えなくてもいいんじゃない?」
「うん」

「戸川くんのこと、好きは好きなんでしょ?」
「うーん、嫌いじゃないけど、好きっていうほど、好きじゃないかも」
「じゃあ、なんでつきあうなんて言ったの?」
リナの口調が珍しく強くなる。

「なんか、はずみって言うか。リナも遠距離だし、それもいいかなって」
「わたしは、真剣に江崎さんとつきあってるわ!」
「結婚するかもしれない、ってこと?」
「うん。その話も出たし、そう言われてわたしはうれしかったよ」
「そうか。なんか、早まったのかな、わたし」
「もし、それほど好きでもないのにつきあうって言うなら、それは戸川くんに対して失礼だと思うよ」
「…………」
「どうするの?」
「うーん、断ろうかな」
「ほんとに、それでいいの?」




        【episode16 (4)に続く】






episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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