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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode16 遠距離恋愛(4)


「うーん、やっぱりどこかで松本さんのこと、まだ引きずってるのかもしれない」
姫は正直に答えた。

「松本さんからは、あれから連絡ないの?」
「それがね、実は、一昨日急に電話かかってきたんだ」
「そうなの?」
「うん。『今飲んでるから出て来ない?』って言われて」 
「それで?」
「行った」
「行ったの?」
半ば、リナの声が呆れているように思えた。


「うん、一年振りくらいで逢ったんだけど」
「うん」
「なんかね、昨日の続きみたいな感じで話すの、松本さん」
「うん」
「全然、違和感ないの、話してて。ブランク感じないっていうか」
「そう……。で?」
「結局、松本さんの会社の人と一緒に三人で飲んだんだけどね」
「それだけ?」
「帰りに、うちに泊まった」
「またつきあうとか、そういう話?」
「ううん。そうじゃないけど」

「で、姫、どう思ったの? 松本さんのこと」
「やっぱり好きだった。逢ってて、すごくドキドキしたし、わくわくした。こんな気持ち、久しぶりだった」
「そう。きっと、それね」
「え? 何が?」
「今、戸川くんに気持ちが向かわない理由」
「うん、そうだと思う。自分でもそうかなって。でも、どうしようもないの。松本さんとは、もうつきあえないってわかってても、やっぱり好きな気持ちは変わらないから」
「そう。じゃ、結論、出てるじゃない?」
「うん、そうだね。リナに話して、気持ちが整理できたみたい。ありがとうね」

「ううん。やっぱり、姫だわ」
「何よ、それ?」
「ドキドキしないと、ダメなんでしょ?」
「うん……そうね。戸川くん、ゴールデンウィークに京都に来るって言ってたんだけど、断るわ」
「うん、そのほうがいいね」


思い立ったら即行動派の姫は、翌日また戸川に電話した。
戸川は、昨日の今日で驚いたようだった。
どう言おうか悩んだのだけど、こういうことは単刀直入に言うのが一番だと思ったので、姫は正直に話した。
前につきあっていた人が忘れられない、と。

戸川は思いのほか、冷静だった。
声のトーンはさすがに下がっていたけれど、しつこく訊いてくることもなく、納得してくれたようだった。
軽はずみに「つきあってもいい」と言ったことを、姫は心から謝った。
そして、ゴールデンウィークの話もなかったことにしてもらった。

戸川は京都に来たがったのだが、「わたしが心苦しいから」と、姫はそれも断った。
これで本当によかったのかと、後になって何度も思った。
でも、自分の気持ちに嘘をついてまでつきあい続けると、きっと戸川をますます傷つける結果になるだろう。
これでよかったのだ。姫はそう信じた。



        【episode16 (5)に続く】






episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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