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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode16 遠距離恋愛(5)


年が明けて、戸川と出逢った三月がまたやってきた。

突然、戸川から姫のもとへ宅配便が届いた。
中を開けると、オレンジがたくさん入っていた。

見覚えのある、小さな角ばった文字の手紙が一枚添えられている。
「大好きなオレンジを、大好きな姫さんに贈ります」
それだけ、書かれていた。
なぜか、姫の目からは涙があふれてきた。


「今もわたしのことを?」
そう思った姫は、気が付くと戸川に電話していた。

「戸川さんのお宅でしょうか?」
「あ、姫さん? もしかして、もう届いたの?」
受話器の向こうから、戸川の弾むような声が聞こえてきた。

「うん、オレンジ、今届いたよ。ありがとう」
「いいえ。早かったんだね。……元気にしてた?」
「うん、おかげさまで。戸川くんは?」
「うん、俺も。……ねぇ、姫さん、彼氏、できた?」
「え? ……うん」
「前に、忘れられないって言ってた人?」
「ううん、違う人」
「そう」
「戸川くんは? 彼女、できた?」
「ううん。俺は彼女、作らないって決めてるから」
「そうなんだ」

その後、少し世間話をして、特に話すこともなくなったので、姫は「じゃ、元気でね」と言って電話を切った。


目を瞑ると、オレンジ色の夕陽に照らされた赤レンガ倉庫が、ありありと浮かんだ。
きっといつかまた、わたしは訪れるだろう。
それがいつかはまだわからないけれど、間違いなくあの場所にいる自分自身を、姫は強くイメージした。


                      【episode16 終わり】

      




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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