恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode17 テニスサークル(5)


「露木さん、何飲んでるんですか」
「あ、俺は梅酒サワー」
「あ、わたし、梅酒好きなんです」
「え? 姫さん、飲んだことあるの?」
「外ではないけど、実家にあるから」
「じゃ、ちょっと飲む?」

姫はドキッとした。
「いいんですか」
「大っぴらに注文しちゃうと、弥生さんに怒られるから、俺のちょっとだけね」
そう言うと、露木は飲みかけの自分のグラスを姫の前に置いた。

「露木さんは?」
「おかわり頼むから、大丈夫だよ。姫さん、それ飲んでいいよ」
「ほんとに?」
露木の言い方があまりにもさりげなくて、間接キスを意識してしまう自分のほうが異常なのだろうか、と姫は思った。

「うん。その代り、みんなには内緒ね」
「わぁ、うれしい。ありがとうございます」
素直に喜びの声が出た。
「みんなには内緒」という響きもいい。

「弥生さんが来たら、俺のほうにグラス返して」
「そんなに厳しいんですか」
「みんなのお母さんみたいな感じかな、彼女は」
「へぇ~」

上手い具合に弥生に見つかることもなく、姫は露木からもらったグラスを空にした。
ほんのり酔っているのが、隣の席の弓子にはばれていた。

「姫~、大丈夫? 酔ってるでしょ?」
「ううん、平気ぃ―」

「弥生さんに見つかったらまずいから、姫さん連れて先に帰ったほうがいいよ」
露木が弓子にアドバイスしている。



          【episode17 (6)に続く】
  




episode17 テニスサークル(1)
 は、こちらをご覧ください。
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http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-157.html





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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