恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode17 テニスサークル(10)


「さぁ、乗って」
露木がバイクを少し傾けて、シートに足が上がるように低くしてくれた。

姫がちょうどまたがったとき、みんなが気づいたようだった。
姫は彼女たちの視線が気になったけれど、そんなのは一瞬だけ。
乗ってしまえば、もうふたりの世界だ。
弓子からは、きっとあとで問い詰められるだろう。まぁ、そのときは本当のことを言うだけだけど。


大学の女子寮の前まで送ってくれるのかと思ったら、寮の手前の公園でバイクは停まった。
「ここ……」
「寮の前まで行くと、いろいろ面倒でしょ」
「うん」
姫は察した。バイクに乗っているだけで、ちゃんと意思疎通ができていたんだと思うと、急にうれしくなった。

斜めになったバイクからゆっくり姫が降りる。
フルフェイスのヘルメットは、ひとりではなかなか外せなかった。
手さぐりで顎のベルトを外そうとするけれど、よくわからなくてもたもたしていると、露木の手がすっと伸びてきた。
すぐにベルトが解かれ、スポッと頭から上にヘルメットが持ち上げられた。

髪の毛がくしゃくしゃになっているのがわかる。
露木は姫の髪を、ゆっくりと手グシで整えた。
姫はすべてをゆだね切って、彼を見上げていた。



          【episode17 (11)に続く】
 





episode17 テニスサークル(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-157.html





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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