恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode18 野球観戦(13)


ビールを零されて、初めは不運だと姫は思った。
でも、こうして新しい約束に発展していった今となっては、むしろ幸運だったのかもしれない。
トイレでスカートを脱いで、男のジャージに着替えながら姫はくすっと笑った。

早く着替えて席に戻らないと、ご主人はともかく奥さんにまた余計な心配をされてしまう。
それでなくても、見ず知らずの男のジャージを借りることで心配されているのだから。

連絡先を交換して、明日食事の約束までしただなんて、そんな話は絶対秘密にしないと。
姫はつい頬がゆるんでしまうのを、どうにかこらえていた。

「そういえば、あの子の名前、訊くの忘れちゃった」
スカートをトイレの水道で洗いながら、姫は気がついた。

「でも、電話番号知ってるんだから、大丈夫よね」
そう自分自身に言い聞かせた。

恋の種は、どこに落ちているかわからない。
その種を大切に拾うか、気づかずに踏み潰してしまうか、すべては自分次第なのだ。
鯉の季節はまだまだ終わらない。



          【episode18 終わり】






episode18 野球観戦(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-170.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月







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コメント

カープファンだけに

鯉の季節、続きますように^ ^

会う約束をするとドキドキするものですね。

なんか、すごく気持ちがわかります。

今後の展開、楽しみ♪

あきさんへ


そうなんです。カープファンだけに!
よくお気づきですね。

このお話を書いた当初(ゴールデンウィークのころ)、カープは首位でした。
果たして5月末まで続いてくれるか、少し心配だったのですが、今(2016.5.30現在)も首位です。
「鯉の季節」が続いていて、ホッとしています。
このまま、続いてほしいですね。

会う約束をすると、ドキドキしますよね。
このふたりの「その後」も、いつか書いてみたいと思います。

コメント、ありがとうございます。

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cafe sanur

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