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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode5 整体(2)-2 フランキンセンス


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode4 整体(1) の続き になります。

よろしければ先に、episode4 整体(1) そして、 整体(2)-1 をお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。



「僕たちは、ふたりでひとつ。もともと、同じ魂だったんだよ」
「そうなのね?」
「うん。僕たちはツインソウル、双子の魂だったんだ」
「ツインソウル? だからなのね、先生に今日初めて会ったのに、前から知っているような気がしたの」
「今世で、僕たちはまた会う約束をしてきたから」
「それで、先生はわたしが今日来ることを知っていたって、最初に言ったのね?」
「やっと会えたね」
「だけど、もっと早く会う約束だって、しようと思ったらできた訳でしょ? なんで、今日にしたのかしら?」
「今日が、僕たちの産まれた日だから」
「クリスマスに産まれたのも、偶然じゃなかったのね」

先生は穏やかな笑顔で姫を見つめている。
「子どものころ、誕生日とクリスマスが同じで、損したような気がしてた。みんなはケーキを二回食べられるのに、わたしは一回だけだなんて不公平だって。おかあさんだって、十二月になったら、わたしのことなんて放ったらかしで、いつも教会のお手伝いばっかりしてたし……。おかあさんはわたしより教会が大事なんだって、ずっと思ってた」
「おかあさんはね、教会を大事にすること、イコール、あなたを大事にすることって思って、ずっと生きてきたんだ」
「そんなのわかんないから、おかあさんとはいつもケンカしたり、ギクシャクしてたりで、辛かったわ」

「さっきの石牢の映像、覚えてる? あなたが流した涙を見て、おかあさんの悲しげな顔が一瞬で、ぱぁっと明るくなったでしょ?」
「うん、覚えてる」
「うちに帰って、おかあさんの顔を見てごらん。今朝とは違うはずだから」

「先生、ありがとう。今日ね、ひとつは頭の痛みをとってほしくて来たって言ったでしょ。もうひとつはね、小さいころから、わたしって何のために産まれてきたのかな、って……。ずっと生きる意味がわからなくて。でも、やっとわかったわ。今日が誕生日だっていうことも、意味のあることだったのね」
先生は黙ったまま、にこやかに何度も頷いた。

「さぁ、そろそろ時間ですよ。あまり遅くなると、おかあさんが心配するから」
あたりはいつの間にか薄暗くなっていた。
いったい何時間ここにいたのだろう。時計がないから正確な時間はわからないけど、少なくとも四時は過ぎているだろう。……ってことは?

姫はまるで竜宮城で過ごした、浦島太郎のような気分になった。
ここを出たとたん、時代が変わっていて、近未来都市になってたりして?
そんな姫の心のうちを察したのか、先生は笑いだした。
「大丈夫、あなたはおばあさんになんか、なってないから。ここを出たら、またいつもと変わらない町並みがあなたを迎えてくれるから」
姫もつられて笑った。

そうか、先生にはわたしが思ってること、なんでも伝わっちゃうんだ。
そう思った姫は、ある実験を試みた。

何も言わず、目を閉じる。
「先生、好き。先生のこと、大好きよ」
思いを込めて、念を送ってみた。そして、ゆっくり目を開けた。
先生は少しはにかんだ少年のような顔で姫を見下ろしていた。

実験、成功。
また、目を閉じた。
確信した姫は、さっきより強い思いを送った。

「先生、キスして。わたしのことが本当に大切なら、今すぐして」



              【episode5 整体(2)-3に続く】



episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






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