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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode20 やさしい雨(3)


「あ、雨、止んでますよ」
姫が先に出て、男に言った。

「良かった。雨宿りの間に止んだんですね」
「そうみたい。ありがとうございました。じゃ、失礼します」
「じゃ、また」

姫は、男の「また」という言葉に少し引っかかった。
またどこかで会うことなんて、あるのかしら。
まぁ、いいわ。今日の、この本との出会いに感謝して。

電車に乗ると、いつもなら座れないのに、まるで姫を待っていたかのようにひとつだけ席が空いていた。
そこにゆっくり腰かけると、さっき買ったばかりの本を広げた。

男のオススメのメニューを見る。
「豚ロースのさっぱり」という名前だった。
必要なのは、豚ロース肉、玉ねぎ、ピーマン、人参、大根、レタス。

ふーん、先に豚肉を炒めて、お皿に敷いていたレタスの上に並べるのか。続けて、野菜の千切りを炒め、先ほどの豚肉の上に乗せて、後は上から大根おろしとポン酢ね。
なるほど、フライパンひとつでできるのもいいよね。

食い入るように読みふけっていると、頭の上のほうから声がする。
「今日、それ、作るんですか」
「え? あ、あなたは……」
「うれしいなぁ、さっそく作ってみるんだ?」
本屋で別れたはずの、先ほどの男が微笑んで姫を見下ろしていた。

「どうして」
姫は、それしか言葉が出てこなかった。


          【episode20 (4)に続く】




episode20 優しい雨(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-202.html






episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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cafe sanur

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