恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode20 やさしい雨(7)


本屋で男に出会ったあの雨の日から、1ヶ月が経とうとしていた。

つきあっていた男と別れてから、同じだけの日にちが過ぎていた。

今日もやさしい雨が降っている。
姫は、早番のあと、あの本屋に寄ってみた。

偶然、またあの男と、料理雑誌のコーナーで出会った。
「また会ったね」

うれしそうに言う男に、姫はこう答えた。
「あなたがいるような気がしたの」

「あの日みたいだね」
「ええ。でも違うことがひとつだけあるわ」
「何?」
「カレと別れたの」
「そう。それにしては、さっぱりした顔してるよ。あのときは元気なかったけど」
「ええ、あなたに会ったから」
「僕も姫さんに会うと元気をもらえる」

男は、姫がつきあっている人と別れるまで何も言わず待っていた。
あの日、バリ料理を一緒に食べて、しばらく経ってサンバルソースをもらいに行って、それからメールをときどきして。
男とは、それだけだった。

男が真剣なまなざしを姫に向けた。
「姫さん、僕とつきあってください」

「はい」
迷いのない姫の返事。


          【episode20 (8)へ続く】




episode20 やさしい雨(1)
 は、こちらをご覧ください。
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http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-202.html






episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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