スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode5 整体(2)-4 フランキンセンス


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode4 整体(1) の続き になります。

よろしければ先に、episode4 整体(1) そして、 整体(2)-1、(2)-2、(2)-3 をお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。




家に着いた。
珍しくおかあさんが玄関で迎えてくれた。
先生の言っていた通り、いつもと違って優しい穏やかな顔付き。
話さなくても、心が通じているような安心感。

もしかしたら、やっぱり近未来に来ちゃったのかな。
姫は少し心配になった。
近未来では、みんな会話なんてしなくても、思っただけで伝わっている。そんな話を聞いた気がする。

「お腹空いたでしょ、早く手洗いとうがいしてらっしゃい。あなたのお祝いするの、みんな待ってたのよ」
おかあさんが促す。
初めてだ。わたしのお祝いだなんて、おかあさんの口から聞いたの。
いつもは、イエスさまのお産まれになった日だから、と言うのに。

家族みんなにお祝いしてもらった、初めての誕生日。

今日はいろんなことがいっぺんにあって、夢みたいな日だった。
疲れたので少し早いけどもう寝よう、と思い、姫はベッドに入った。
そして、先生からもらった小箱をバッグから取り出した。

そっと開けると、中には古めかしい小さな瓶がひとつ、ころんと入っていた。
掌にすっぽり入ってしまうほど小さな茶色い遮光瓶。姫は右の掌に握り、その上から左手を重ねると、大切なものを抱きしめるように胸にぎゅっと押し当ててみた。
胸がドキドキしている。鼻から思いっきり空気を吸い込む。胸がいっぱいって、きっとこんな感じだろう。

ゆっくり瓶の栓を開けると、きゅっと音がして懐かしい香りがふわっと辺りに立ち込めた。

フランキンセンス!
目を閉じて、深く吸い込んでみる。

先生の笑顔が浮かんだ。
「大好きだよ、僕の大切なツインソウル!」
そう聞こえた。

先生がこのエッセンシャルオイルに魔法をかけていたのだろうか。
「わたしも大好きよ、わたしの大切なツインソウル!」
姫も心の中で呟いた。

すると、「ありがとう」という先生の声が聞こえた。
「先生。わたし、先生と会話できてるの?」
思わず心で叫んだ。
「そうだよ。この香りの中に、僕たちはいつも一緒にいる。僕と話したいときは、フランキンセンスの小瓶を開けてみて」


この日以来、頭痛もなくなったし、おかあさんとの関係もうまくいっている。

先生のサロンへはあれから行っていない。
行かなくても、いつだって会えるから。
フランキンセンスがある限り、いつだってあの日に戻れる。

姫の宝物が、またひとつ増えた、クリスマスの日のお話。




                   【episode5 整体(2) 終わり】
                    



episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

恋愛小説 ブログランキングへ

☆ お読みいただき、ありがとうございます ☆
関連記事

テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

cafe sanur

Author:cafe sanur

現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。