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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(2)


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(1) の続き になります。

よろしければ先に、episode7 新年会(1) をお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。




リナのあとについて、二階に上がる。
「こちら、姫ちゃんでーす。よろしくね」

リナが部屋に入るなり紹介してくれたので、「よろしくお願いしまーす」とだけ言う。

「姫、ここね。ジョンの隣」
案内された席に座ろうとしたら、ジョンがおどけた感じで話しかけてきた。
「ようこそ、姫さま。さぁ、どうぞどうぞ」
ジョンは目鼻立ちのくっきりした、彫の深い顔立ちだったが、聞こえてきたのは日本語だった。
「ジョンくんて、ハーフ?」
気になって、姫が尋ねる。
「いえいえ、れっきとした日本人でーす」

新年会が始まって、一時間くらい経っているようで、もうすでにみんな出来上がっている。
「姫、何飲む?」
リナが訊いてくれたので、ハイボールを頼んだ。

「姫、あと一時間くらいなの、ここのお店。ごめんね、急いで食べちゃって」
「うん、お腹空いてるからちょうどいいわ」
「ちょっと冷めちゃったのもあるけど、ごめんね」
「ううん、大丈夫」
リナがいろいろ世話を焼いてくれる。
そこへ、ハイボールが来た。

「じゃ、姫が来たことだし、カンパーイ!」
リナの掛け声で、みんな一斉に飲みかけのジョッキやグラスを、姫のグラスに元気よくぶつけてきた。
リナがみんなを簡単に紹介してくれた。
といっても、長テーブル二本に、十五人くらいの男女が向かい合って座っていて、とても全員の名前を覚えられそうにない。
それに、サルサのこともよく知らないし、お腹も空いていたことだし、これはもう食べるだけ食べたらさっさと帰ろう、と姫は内心思っていた。

「ねぇ、姫さまは、リナといつから知り合いなの?」
隣の席のジョンが訊いてきた。
「大学のときからよ」
「で、同じ会社に就職したの?」
「そう」
「リナはフロントだって言ってたけど、姫さまも?」
「ねぇ、ジョンくん。『姫』でいいよ」
「じゃ、俺のことも『ジョン』でいいよ」
「わかった。今はオペ室よ」
「えっ、オペ室? 病院なの?」
「あ、ごめん。ホテルの電話交換室のこと」
「へえ。じゃ、電話したら姫が出るの?」
「いつもじゃないけどね、シフト制だから」
「今度かけてみよっかな」
「あー、ダメダメ。私用電話は禁止よ。今日だって、リナからかかってきて怒られそうになったんだから」
「じゃ、姫のケータイ番号、教えて」
「教えない」
「なんで?」
「だって、連絡すること、ないもん」
「姫になくても、俺にあるもん」
「なんで?」
「今度また会う約束するから」
「えー? もう会うこと、ないよ。今日はたまたま人数合わせで、ご飯食べに来ただけだもん」
「ねぇ、姫はサルサ、興味ないの?」
「踊れないから」
「興味、なくはない?」
「うーん。どうだろ」
「今度さ、教えてあげるよ」
「えー、いいよ」
「どーして?」
「だってー」
「サルサって、疑似恋愛とも言われてるんだ」
「疑似恋愛?」
「そう。男女でペアになって踊るんだけど、その相手と恋愛してるような気分になるから」
「そうなんだ? じゃ、リナの相手は誰なの?」
「ペアってこと?」
「うん」
「まぁ、だいたい最初は、ほら、今リナが話してるチェックのシャツのヤツ、あいつと踊ってるけど、俺とも踊るし」
「そうなの? ペアって決まってないの?」
「誰と踊ったっていいんだよ。俺も、その日の気分とか曲に合わせて、いろんな娘(こ)と踊るし」
「へぇ」
「どう? ちょっと踊ってみたくなった?」
「うーん、でも、なんか難しそう」
「男のリードが上手いと、女の子は身を任せてるだけで踊れるから」
「だって、ステップとかあるでしょ」
「まぁ、もちろん基本のステップは教えますよ」
「わたしでも踊れるようになる?」
「俺が教えて踊れなかった娘はいない」
「ジョンって、サルサの先生なの?」
「ううん、違うよ。ただ、好きなだけ」
「踊るのが? それとも、教えるのが?」
「どっちも。特に、可愛い娘にはね」
ジョンは、そう言うと姫にウィンクした。



        【episode7 新年会(3)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






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