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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(3)


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(2) の続き になります。

よろしければ、episode7 新年会(1) から順にお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。




「姫ぇ~。飲んでるぅ~?」
リナが上機嫌でワイングラスを片手に持ちながら、ジョンとの間に割って入った。
「うん、飲んでるよ」
「ジョン~。姫のこと、口説いてたんでしょ~」
「口説いてた」
「もう~、ジョンは正直なんだからぁ」
「リナ、酔っ払ってる? 大丈夫?」
姫の心配をよそに、リナはそれだけ言うと、ニコニコしながらチェックのシャツの男のほうへ戻って行った。

「リナ、なんだったんだろ?」
「俺が姫に本気だって、バレちまったみたい」
「何言ってんのよ、ジョン」
「リナってさ、俺の唯一の女の親友なわけ」
「リナはわたしの親友でもあるわ」
「じゃ、ちょうどいいじゃん。親友同士」
「ジョンって、リナの元カレ?」
「違うよ。俺とリナは付き合ったことない。俺の好み、リナは知ってるし」
「そう」
「実はさ、今日、リナがセッティングしてくれたんだ」
「セッティング?」
「そう。姫に会わせてって、前から言ってたから、俺」
「そういうこと、今言う? なんだか興ざめだわ」
「うん、それが俺の正直で、イイところなんだな」
「そういうことも、普通自分で言わないよね」
姫は笑いだした。
リナがこちらを見て微笑んでいた。

「みなさーん、そろそろお開きになりまーす」
リナの明るい声が、響き渡った。
「二次会、行く人は外で待っててくださーい。ここで解散にしまーす」
みんなコートを着たり、トイレに行ったりして帰り支度を始めた。
リナは幹事なのか、会計をしに先に下に降りて行った。

姫もコートを着た。ジョンが近寄って来て、すっと姫のコートの右ポケットに何か入れると、黙って階段を下りて行った。あまりにも一瞬のことで、ジョンは姫と目も合わさなかった。
さっきまでのは、なんだったんだろう。姫はからかわれたのかと思った。
右ポケットに手を入れて、そっと探ってみる。平べったくて、丸くて硬い。これは、もしかすると……。

手を突っ込んだまま、姫も階段を下りた。
リナが入口のレジのところで会計をしていたので、「外にいるね」と声をかけて出た。
ジョンは、と探してみたけれど、いない。近くにいた人に訊くのも変なので、リナが出てくるのを待つことにした。
「みなさーん、お疲れさまでしたー。……姫、今日はありがとね。姫は帰るよね?」
「う、うん」
「じゃ、気をつけてね。またね」
「うん、ありがと」
リナも、あまりにも素っ気ない態度だったので、ちょっと拍子抜けした。もちろん、二次会には、もともと行くつもりはないけど。

「ねぇねぇ。これからサルサバー、行っちゃう?」
リナはみんなに取り囲まれて、二次会の話に夢中だ。ちょっと淋しい気分になる。
明日は休みだから、カラオケにでも寄ってちょっとだけ歌って帰ろうかな。そんなことを考えながら、みんなと別れて、駅のほうに向かって歩き始めた。
あ、そうだ。さっき、ジョンから……。
姫はポケットから、それを取り出した。
やっぱり! 形や大きさなどから、もしかしてと思った通り、さっきの居酒屋で使っていた、厚手の紙のコースターだった。
几帳面な字で、電話番号が書いてあった。ただ、それだけ。

そのとき、姫の携帯電話が鳴った。
「まさか?」




       【episode7 新年会(4)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






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