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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(4)


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode7 新年会(3) の続き になります。

よろしければ、episode7 新年会(1) から順にお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。




「姫、今、どこ?」
リナからだった。

「駅のほうに向かって歩いてるところ」
「ジョン、いいヤツだからさ」
「え?」
「ジョンから連絡先、もらった?」
「うん」
「なら、いいの。もし、アイツが渡しそびれてたら、姫に教えてあげようと思って電話したの」
「びっくりした」
「ごめん、驚かせて。ジョンって、ああいうルックスだし、軽そうに見えるけど、根はすっごい真面目で、ほんといいヤツなんだ」
「うん」
「姫のこと、前から紹介してって、ずっと言われてて……。でも、いきなりふたりで会うのは嫌だろうし、それに、姫がジョンのこと、気に入るかもわかんないし」
「で、新年会に誘ったってわけ?」
「うん。今日、ふたりのこと見てて、合いそうって確信した」
「もう、リナは昔っからお節介なんだからぁ」
「まんざらでもなさそうだったけど」
「うん、まぁね」
「じゃ、連絡してあげて。ジョン、待ってると思うよ」
「二次会には行かないの?」
「うん、ジョンは先に帰るって言ってた」
「わかった。じゃ、かけてみる。リナ、ありがとね」
「うん、じゃ、おやすみ~」
「おやすみ~」

リナとの電話を切って、手に持っていたコースターの電話番号にかけてみた。
数回の呼び出し音のあと、「ハイ」と、静かな声でジョンが出た。
「あ、あの……。姫だけど。今、どこ?」
「うしろ」
「うしろ?」
「姫のうしろ」
姫はぱっと振り返った。ジョンが、そこに立っていた。笑っている。

「なんで?」
もう電話を通してではなく、直接話していた。
「姫が、もしコースター捨ててたりしたらいけないから」
「いつから?」
「居酒屋出てからずっと」
「つけてたの?」
「言葉で言うと、そういうことになるかな」
「やだ。先にひとりで帰ったんだと思ってた」
「いや、裏口にいた」
「みんなには?」
「先に帰るって」
「リナには?」
「正直に話した」
「リナが、ジョンはいいヤツだからって」
「親友が言うことなんだから、間違いないよな」
「そうね」

「ここ、寒くない?」
ジョンが、大げさに肩をすくめながら言った。
「寒い」
ビル風がびゅうっと、枯葉を巻き上げている。

「あったかいところで、もう少しだけ話さない?」
「そうね。何かあったかいもの、飲みたいわ。明日お休みだし、もう少しなら」
「じゃ、俺んち、来る?」
「うーん。今日はやめとく」
「ね、今さ、『今日は』って言ったよね?」
「え? 言わないわよ」
「言った」
「言わない」
「この次があるってことだよね?」
「……サルサ、始めてみようかな」
「俺に任せて」

「ね、早くどこか入ろうよ。いつまでここにいる気?」
姫も寒そうに、両腕を胸の前できゅっとクロスした。
背の高いジョンが、姫の背中にさっと手を回してエスコートした。
ジョンの左隣で、姫は彼を見上げると微笑んだ。ジョンの大きな手が触れている背中があったかい。

ふたりは木枯らしの中、寄り添って駅とは反対方向へと歩き始めた。
これから、サルサという名の疑似恋愛が始まるのだろうか。
それとも、本当の恋愛が始まるのだろうか。
それは、まだ誰にもわからない。



        【episode7 新年会 終わり】




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






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