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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode10 スカッシュ(1)


その昔、わたしがまだ姫と呼ばれていたころの話。

そのころの姫の悩みと言えば、ぽっちゃり。
お正月休みに実家に帰ると、親戚一同集まっての宴会が延々と続く。いつもなら自分でする食事の支度や洗濯など、すべて母親任せのため、食べた分を消化することは、並大抵のことではなかった。

その上、話好きのおばさんに捕まって、夜遅くまで起きていることが多く、当然、夜中に食べることも増えていた。

毎回訊かれるのが、「姫ちゃん、彼氏、できたん?」という質問。質問、というより、これは単なる社交辞令だと思っていたけど……。

弟もいつも訊かれている。「彼女、できたん?」と。
弟は、姫に比べて要領がいい。
「うん、できたよ」と軽く言うと、「良かったなぁ。どんな娘(こ)?」と、おばさん。
「おばさんみたいな、すてきな人だよ」
それ以上の攻撃は、ない。

姫も「うん、できたよ」と言えばいいのだが、嘘はつきたくないので、「まだ」などと答えようものなら、「わたしに任しとき」と、エライことになってしまう。要するに、世話好きなのだ。


一月も終わるころ、近所にスポーツクラブがオープンするという話を友達から聞いた。ふたりで入会すると、会費がペア料金で少し安くなるという。彼女に誘われて、ぽっちゃりを解消すべく、姫はそのスポーツクラブに入会することにした。

以前、別のスポーツクラブに入っていたことがあったので、なんとなく様子はわかっていたけれど、プールやスカッシュコート、岩盤浴もあるというところが、前のところよりいいなと思った。まぁその分、会費も高かったけれど、これも自分への投資だと思うと安いものだ。

友達とは、初日だけ一緒に行った。あとは、自分の都合のいいときに行くことにして、特に約束はしなかった。お互い、シフト制の仕事だったので、休みが合うことも少ない。何よりも、そういう面で縛られるのは嫌だった。


姫はまず、コーチに相談した。
痩せるのが目的だけど、つらいのは嫌なので、楽しみながら痩せたい、と。
生田斗真似の、そのコーチはやわらかな笑顔で姫に言った。
「そうですよね、つらいのは嫌ですよね?」
「はい」
「じゃ、姫さんに訊きます。どんなスポーツが好きですか」
「スポーツ? 自分がするほうですよね?」
「もちろん」
「うーんと……、テニスとか……」
「今、テニスはしてますか?」
「いいえ。大学卒業してから、しばらくはしてたんですけど、今は全然」
「スカッシュはどうですか」
「一回だけ、やったことあります」
「僕、スカッシュが専門なんですよ。よかったら、体験レッスン受けてみませんか」
「そうね。前にやったとき面白かったから、やってみようかな」
「じゃ、予約票にお名前書いてもらっていいですか」
「はい」




     【episode10 スカッシュ(2)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月






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