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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode10 スカッシュ(5)


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode10 スカッシュ(4) の続き になります。

よろしければ、episode10 スカッシュ(1) から順にお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。




「コーチは辞めるけど、スカッシュを止めるわけじゃないから」
「え?」
「だから、もし姫さんにその気があるんだったら、個人的に教えてあげることはできるよ?」

姫は、ドキッとした。
「個人的」って? 「その気」って、なんの気? 好きってこと? まさかね。スカッシュを教えてもらいたい、やる気があるならってことよね?

「はい、もちろん、あります! もっともっとうまくなりたい」
「じゃ、こうしよう。姫さんの仕事が休みの日を教えて。僕が合わせてコートを押さえておくから」
「え? コートって、ここですか」
「ううん、ここへはもう来ない。知り合いが庭にスカッシュコートを作ったんだ」
「え? 自宅にコートを? すごいですねー」
「金持ちのすることは、ようわからん」
コーチは笑っている。

「ほんとにいいんですか、わたしなんかが行っても」
「もちろん。姫さん、見込みがありそうだから」
「なんか、この展開、信じらんないんですけど」
「姫さんは、特別だよ。だから、内緒にしてね、ここのみんなにも」
「もちろん、誰にも言いません。ありがとうございます」
「じゃ、約束ね。ハイ、指切り」

コーチが右手の小指だけ立てて、姫のほうに一歩近づいた。
姫も右手の小指を立てて、からませる。

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲-ます。指切った」

なんだか大人になってからの、しかも異性とする指切りは、どことなく秘め事度数が高い気がして、姫の胸の鼓動は速くなっていた。
「特別」……「内緒」……「約束」……。あぁ~、なんだかクラクラしそう。

指を離す直前、コーチが姫の耳元で囁いた。
「このあと僕、休憩に入るから、隣のカフェで待っててくれる?」
「え?」

「じゃ、お疲れさまでしたー」
「あ、ありがとうございました」
ポカンとしている姫を置いて、コーチはコートの中にひとりで入ると、何事もなかったかのように床のモップ掛けをし始めた。

コーチに誘われたんだよね、わたし……。
姫は膝の痛さも忘れて、急いでロッカールームに戻り、お風呂セットを取り出すと高速でシャワーを浴びた。


痩せるために、一番効果的なこと。それは、恋をすることだ。
姫は斗真コーチに、恋し始めていた。彼と一緒にスカッシュをすれば、嫌でも痩せていくだろう。
これからがとても楽しみな姫だった。

よーし、来年のお正月こそ、おばさんに訊かれる前に言ってやろう。
「彼氏、できたよー」って。

どうかそれまでに、斗真コーチが彼氏になってくれますように!





     【episode10 スカッシュ 終わり】






episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月





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