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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode11 バレンタイン(1)


その昔、わたしがまだ姫と呼ばれていたころの話。

そのころ、姫はお菓子作りに凝っていた。
凝ると言っても、ワンルームマンションに住んでいたので、そのキッチンで作ることのできる程度ではあったけれど。

昨日作ったのは、トリュフ・チョコレート。これは、高級そうな見た目のわりに、簡単だった。
市販の板チョコに生クリーム、それにほんの少しのブランデーとココアがあれば、誰だってできるだろう。小学生でも作れるんじゃないかしら。
まぁ、子どもはアルコールなしで、だけど。
でも、もうちょっと手の込んだもののほうがいいのかな。


もうすぐ、バレンタイン。
でも、その前につきあっている男の誕生日が先に来る。
きっと水瓶座のあの人なら、そんなことにこだわらず、「まとめてでエエよ」って、言いそうな気もする。でも、手抜きだと思われると嫌だ。

クリスマスが誕生日だという姫だからこそ、別々のイベントとして、誕生日は純粋にお祝いを、そして、バレンタインは何か心に残るふたりのイベントみたいな感じで過ごしたい、と思っていたのだった。

「ねぇ、バレンタイン、どこかへ出かけない?」
一月も終わりそうなある日、姫が男に提案した。
「ごめん、向こうでバイトや」
「えー? 休めないの?」
「うーん、無理やな」
「なんで?」
思わず、口がとんがってしまう姫。
「人手不足やねん」
「誰かに代わってもらえないの?」
「みんな、試験で忙しいねんて」
「どうしても?」
「ごめんな。ボク、頼りにされてんねん」
男は、にやけながら言った。口では「ごめん」と言いつつも、とても謝っている風には感じられない。

「もうー、楽しみにしてたのにぃー」
「バイト終わってからやったら、エエよ」
「何時に終わるの?」
「一応、七時」
「……ってことは?」
「後片付けやらあるし、まぁ十時過ぎかなぁ」
「じゅーじぃー?」
姫は大げさに驚いてみせた。


男とは、軽い遠距離恋愛だった。といっても、男の実家が偶然にも、姫のマンションから車で十五分の距離だったので、主に彼が実家に帰ってくる週末にふたりは逢っていた。

「そんなんだったら、もうバレンタイン終わっちゃうよー」
「あと二時間あるやん」
「せっかく今年のバレンタイン、日曜だったのにぃ」
「ほなら、逢わんとこか?」
「前の日は? 十三日は?」
「十三、十四って、バイトやねん」
「もうー」
「しゃーないやん」
「わかった。なら、もういい」
姫はふくれっ面のまま、男を軽くにらんだ。


     【episode11 バレンタイン(2)に続く】





episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月




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