スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode11 バレンタイン(2)


このお話は、わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode11 バレンタイン(1) の続き になります。

よろしければ先に、episode11 バレンタイン(1) をお読みいただくと、話がわかりやすいかと思います。



「わかった。ほなら、十四日、ちょっと早めにバイト上がらしてもらうわ。日曜やし、お客さんの引きも早い思うし」
姫のご機嫌をあまり損ねないように、男は譲歩した。
「じゃあ、何時に逢える?」
目を輝かせる姫。

「うーん、せやなー。頑張って、九時かなー」
「九時かー? じゃ、わたしがそっちに行く」
「ひとりで来られるかー?」
「子ども扱いしないでよ」
「せやけど、ボクの車でしか来たことないやろ?」
「うん。電車とかバス乗り継いでいけばいいんでしょ?」
「一時間に一本しか電車あらへんし、バスかて日曜の夜は……」
「駅からタクシーで行くから大丈夫」
「おとなしぅ、部屋で待っとり」
「でも、わたしが行ったほうが早く逢えるでしょ?」
「そら、うれしいけど」
「けど、……何?」
「待つとこ、あらへんしなー」
「バイトって、どこで?」
「駅前のデパート」
「じゃ、駅前のカフェかどっかで待ってる」
「カフェ? あの辺、なんもないしなー」
「…………」
「ほな、うちで待っとり」
「え、先に部屋にひとりで行ってるってこと?」
「うん」
「いいの?」
「ボク、朝からバイトやし、合鍵渡しとくわ」
「合鍵?」
その響きに、姫は一瞬ドキッとした。今までつきあった人から、合鍵を預かったことはない。

「うん。この次逢うまでに作っとくわ」
「ありがとう」
「六時くらいで上がらしてもらうから、六時半くらいには帰れんちゃう?」
「うん」
「せやし、そのくらいにおいで」
「もうちょっと早く行っちゃ、ダメ?」
「もうちょっと、って?」
「うーん、三時とか四時とか」
「別に、かまへんよ」
「良かった。じゃ、合鍵お願いね」
「おぅ」


次に逢ったのは、男の誕生日だった。
姫が男にプレゼントを渡すと、「ハイ」とお返しのようなタイミングで、合鍵を掌に乗せられた。
作りたてみたいで、キーホルダーも何もついていない、シンプルな鍵。ひんやりとした感触が、掌よりも胸にキュンと来る。
「失くすなや」
「うん、ありがとう」

「ほな、デザートをゆっくりいただきますか」
そう言ってウインクした男に、人生二度目のお姫さま抱っこをされる。前のときみたいに、もう抵抗したりしない。
だって、デザートのわたしが崩れちゃうと困るから。

姫はそのままそっとベッドへ運ばれた。
部屋の電気が消され、さっきまで食事をしていたテーブルの上の赤いキャンドルだけがゆらゆら揺れている。


初めてふたりで食事した、ホテルのレストランのことを思い出す姫。
あのときもテーブルの上で、キャンドルが揺れていた。小さなガラスのカップに水が張ってあり、その中にひと回り小さなキャンドルが浮かんでいた。
出逢って三日目のこと。そのときは、この男とまさかこんな風につきあうなんて思ってもみなかった。



     【episode11 バレンタイン(3)に続く】




※ Episode2  お姫さま抱っこを読んでみたいかたはこちらへどうぞ


episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月





にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

恋愛小説 ブログランキングへ

☆ お読みいただき、ありがとうございます ☆
関連記事

テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

cafe sanur

Author:cafe sanur

現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。