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恋愛小説:セシル~恋する木星~

セシル ~恋する木星~ 第2話 ニースの展望台


ツアーで最初に訪れたのは、ニースの街を一望できる展望台。
「コート・ダジュール」という響きだけで、なぜかうっとりしてしまうセシル。旅行前にガイドブックを見たときから、この展望台から撮影したであろう写真を見て、どうしても自分の目で見たいという強い思いがあった。

海は近くで見るのもいいけれど、高いところから見下ろすほうが、実はセシルは好きだったりする。なぜか、同時に恐怖も感じるのだけれど。
それでも、結果としては、美しいものを見たいという気持ちのほうが、恐怖心よりも勝ってしまう。怖いもの見たさ、というのとはちょっと違う。別に高所恐怖症というわけでもない。

でも、今回だけは違った。
海のほうに近づくにつれて、足がすくむのだ。
早く見たいのに、なかなか近づけないもどかしさ。セシルは直子の腕にしがみつきながら、一歩一歩足を踏み出し、ようやく遠目で見ることができた。
まさに、絶景。ここから見える紺碧の海は本当に綺麗で、『天使の湾』と呼ばれるのも納得。

旧市街の屋根の色はレンガ色で統一されていて、とても可愛らしい印象。これは、法律で規定されているのだとか。
青い空と碧い海、それに屋根のレンガ色のコントラストが、また素晴らしい。

突然、直子が言った。
「ねぇ、セシル、大丈夫?」
「え? うん、大丈夫」
「なんだか、顔色が良くないみたい」
「うん、ちょっと寒気が」
「え? 寒いの?」
「うん、なんかあまりにも感動的な景色だからかな、鳥肌立っちゃって」
「ちょっと座ろうか?」
「うん」
直子に支えられるようにして、セシルはベンチに連れて行かれた。

「お水、飲む?」
直子がペットボトルを差し出した。
「あ、ありがとう」
セシルは自分のバッグにもミネラルウォーターがあったことを思い出し、「自分の、飲むから大丈夫」と、直子に言った。
ふたりはそれぞれのペットボトルから水を飲んだ。
セシルはバッグからハンドタオルを取り出すと、首筋やこめかみにうっすら浮いた汗を拭いた。

そんな様子を見ていた直子が、また心配そうに声をかける。
「セシル、ほんとに大丈夫なの?」
「うん、もう落ち着いた。心配かけてごめんね」
「なら、いいけど。ちょっといつもの怖がり方と違ったから」
「そうなのよね。いつもは怖いけど、もっと平気っていうか」
「そうよね。さっきのセシルのしがみつき方、半端なかったもん。腕に痣ができるんじゃないかって思っちゃった」
直子は笑いながら言った。
「え? そんなに? ごめーん、直子。無意識」
「でも、もう顔色も戻ってきたみたいだし、大丈夫そうね」
「うん、ありがとう」

しばらく休んだあと、ツアーのみんなで記念写真を撮った。






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