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恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(5)


翌朝になった。
朝食のとき、レストランで案内されたのは、偶然にも戸川たち四人の隣のテーブルだった。

「あ、おはようございまーす」
「おはようございまーす」

両グループは、お互いに挨拶を交わすが、それ以上の話はせず、それぞれのテーブルでの会話にとどまった。

姫は昨夜しずちゃんが言っていた、戸川の様子が気になり、ときどき彼のほうを見た。
すると、本当にみんなに気を配っている。それも、しずちゃんの言った通り、さりげなく。

そして、何度か姫は戸川と目が合った。
そのたびに、やさしく微笑みかけてくるので、姫も戸川に微笑み返す。

しずちゃんが、そんなふたりの様子を見逃すはずはなく、鋭く訊いてくる。

「姫ったら、さっきから戸川くんとずっと微笑みあってない?」
「別に、微笑みあってたわけじゃないけど……」

テーブルとテーブルの間が、結構離れているからできる話。
こんなこと、戸川には絶対聞かれたくない。

「姫、昨日、なんて言った? 長瀬くんじゃなかったの?」
詰め寄るしずちゃんの、嫌な圧。

「わたしはただ、昨日しずちゃんが、戸川くんがみんなにソース回してたって言ってたから、ほんとにそうかなって思って、見てただけよ」
そう言って、姫は無意識にまた戸川のほうを見た。
しずちゃんもリナも、姫につられて同じように戸川のほうを見る。

すると、ちょうど戸川がオレンジの皮をむいているところだった。
お皿には、くし型にカットされたオレンジが、山のように盛られている。

「わっ。あれ、全部ひとりで食べるのかしら?」
まず、しずちゃんが驚きの声を上げる。

「まさか? きっと、みんなの分じゃない?」
姫はそう言ったものの、じゃあみんなのためにわざわざ皮をむいてあげているのかと思うと、それはそれで変な気もした。
リナもびっくりしたような、呆れたような顔をして見ている。

幸い、皮むきに夢中な戸川は、まるっきりこちらの視線に気付いていない。
そのうち全部むき終わると、戸川は美味しそうに、ひとつ、もうひとつと口へ運んでいった。
馬場もそれをひとつつまんで食べていた。ということは、みんなの分ということか。

その後も好奇心から姫は見ていると、長瀬は別のお皿に取ったオレンジを自分でむいて食べていた。
内山はオレンジは食べず、自分で取ってきたバナナを食べていた。

で、姫たちの出した結論。
戸川は単純にオレンジが大好きなのだ、ということ。


          【episode12 卒業旅行(6)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-85.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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