スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(6)


旅の二日目は、シドニーへ移動。

この日、ちょっとした事件が起きた。
オペラハウスを見学しているとき、姫はイヤリングを片方落としてしまったのだ。
細い隙間に確かに見えているのに、指が入らずに取ることができない。
結構気に入っていたフロストガラス風の、ハートのイヤリング。

諦めるのは残念だったけれど、「また来るからね」と、片割れに言い残して姫はその場を後にした。
自分の分身のようなものを置いておくことで、また来ることを約束できたような気がしたのだ。


そして、ランチタイム。
案内されたレストランでは、またもや戸川グループと姫たちのグループが隣同士に。
偶然、姫の隣の席に戸川が座った。その隣には長瀬。
どうやら戸川と長瀬は、この四人グループの中でも特に仲が良いみたい。
そして、姫の向かい側には、リナとしずちゃんが並んで座った。
つまり、戸川の向かい側がちょうどしずちゃんというわけ。

姫は、特に意識して戸川の隣をキープしたわけではない。彼よりも先に座っていたのだから。
こういうとき、好きな人の近くに行きたい、と思うのが世の常であるなら、戸川は姫のことを好きなのかもしれない。
昨日の写真撮影にしろ、今朝の朝食の微笑みにしろ、二回それらしき要素はあった。
ということは、三度目のこれでほぼ間違いないのでは? それとも、うぬぼれすぎ?

でも、しずちゃんが戸川のことを好きだと公言している。
ただ、戸川がしずちゃんのことをどう思っているのかは、今のところ全くわからない。


「明日の夜は、いよいよディナークルーズね」
リナが珍しく自分から話題を出してきた。

「うん、今からとっても楽しみ」
姫がそう言うと、しずちゃんが向かいの席の戸川に尋ねた。

「戸川くんたちも、行くの?」
「うん、僕と長瀬は申し込みしてるよ」
「そうなんだ。わたしも申し込めばよかったかな」
ちょっと残念そうに、しずちゃんが言う。

「え? 申し込みしてないの? こういうのって、女の子はみんな好きなんだと思ってたけど……」
そう戸川に言われ、ますます悔しそうな顔のしずちゃん。

「わたし、船酔いするからやめたの」
「そうか、それは残念だね。姫さんとリナさんは行くんだよね?」
「ええ、これがあるからこのツアーに申し込んだようなものよ。ね、リナ?」
「そうそう。ふたりでどのツアーにするか散々悩んだ結果よね?」

そう答える姫とリナを交互に見つめ、戸川が不思議そうに言う。
「あれ? ふたりで? 三人でじゃないの?」
戸川の鋭いつっこみ。

「あ、最初ね、リナとふたりでのつもりだったの。しずちゃんはヨーロッパに行くって言ってたから」
「そうだったんだ。どこにしても、就職したらそんなに行けなくなるよね」
「そうそう、だから学生時代最後の贅沢かな」
ランチの間も、和やかな会話が続く。


          【episode12 卒業旅行(7)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
   ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-85.html




episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
   ↓
わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

恋愛小説 ブログランキングへ

☆ お読みいただき、ありがとうございます ☆
関連記事

テーマ : 恋愛小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

cafe sanur

Author:cafe sanur

現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。