恋愛小説:わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode12 卒業旅行(7)


そして、夕方になってホテルへと案内された。

メルボルンのホテルが、落ち着いた英国風の古き良き時代風ならば、こちらのホテルはもう少し近代的という感じ。
場所もわりと繁華街に近いところにあり、にぎやかだった。

姫たち三人は、夕食までの間、少し外に出てみることにした。
近くに噴水があるのが、なぜかうれしい。
通りには観光客相手のお土産物屋さんから、奇抜な洋服を飾ってあるお店まで、いろいろな店舗が建ち並ぶ。
三人は特に目的もなく、そぞろ歩いた。


シドニー二日目の朝。
この日は終日フリー。
姫とリナは、博物館~シドニータワー~シドニー湾ディナークルーズという予定。
しずちゃんは動物好きで、ひどい船酔いもするということだったので、朝からタロンガ動物園へ行くと言い、朝食後別行動になった。


姫とリナが、地図を片手に歩いていると、少し前の方に見覚えのある姿。
「あ、もしかして、あれ、陽子ちゃんたちじゃない?」
「うん、そんな感じ」
「声かけてみようか?」
「うん、もしかしたら博物館に行くのかも」

案の定、同じツアーで仲良くなった、おとなしめの二人組だった。
博物館に行くというので、四人で一緒に行くことにした。

リナとしずちゃんと三人で行動するより、なぜか姫はこの四人でのほうが気が楽だった。
だから、正直言って今日、しずちゃんと別行動で少しほっとしていたのだ。

リナとふたりだと、いつもすんなり物事が決まる。
別にどちらかが我慢して、とか遠慮してそうなる、というのではなく、本当に自然に。
それが、しずちゃんと三人だと、どこかペースが乱れてしまう。
細かいことを言えばきりがないのだが、例えばバスに乗るとき、ふたり掛けのシートなので三人のうちひとりが余る。
すると、しずちゃんが決まってこう言う。

「わたしがひとりでいいよ。犠牲的精神で」

最後の一言は余計じゃない?
こういう物言いをする人が、姫は苦手だ。
そして、結局はひとり席に座るのだって、ローテーションになるのだから。


博物館では、それぞれ観たいものや興味も違うので、集合時間を決めて四人はバラバラになった。
誰かに付き合って見たくないものに時間をかけたり、逆に自分だけが観たいのに他の人に待ってもらったりするのは苦痛だ。
自分のペースで好きなように、というのが気を遣わなくていい。
それでも、姫とリナはよく同じところで遇い、同じように観て回った。
 


          【episode12 卒業旅行(8)に続く】
  




episode12 卒業旅行(1)
 は、こちらをご覧ください。
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episode1 から読んでみたいかたは、こちらからどうぞ。
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わたしがまだ姫と呼ばれていたころ episode1 三日月








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