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恋愛小説:さぁ、どっち?

さぁ、どっち? case1 (3)


午後二時、あなたは久しぶりに以前の職場の友達とカフェで会うことにした。
当日の誘いにも関わらず、彼女は快く出てきてくれた。

「久しぶり、元気そうね」
「あなたもね」

ワッフルと紅茶を注文したあと、軽い近況報告をお互いに始める。
あなたは、「どうなの、カレとうまくやってる?」という友達の問いかけに、弾かれたように日ごろの不満をもらしてしまう。

「へぇ、そうなんだ。じゃ、同棲して正解だったね」
冷静な友達の口調に、少し意外そうな反応を見せるあなた。

「正解?」
「うん。カレのほんとの姿が見えたわけでしょ? 結婚する前で良かったじゃない?」
「あぁ、そういうことね」
「そうよ、結婚してからじゃ遅いでしょ」
「まぁね」
「で、まだ同棲、続けるつもり?」

グイグイ来る友達の質問に圧倒されていると、紅茶が運ばれてきた。
「お待たせしました。ワッフルは今焼いていますので、もうしばらくお待ちください」
「はい、ありがとう」

ポットの紅茶をカップに注ぎながら、あなたは先ほどの質問に答える。
「今、どうしようか考えてる」
「早いほうがいいわよ、決断は」
きっぱり言う友達の顔は、決して面白がっているふうではなく、いたって真面目だ。

「そうね……」
あなたは、どことなく歯切れの悪い返事になってしまう。

「何を迷ってるの?」
「うーん。もしね、同棲解消とかなったら、やっぱ、結婚もないってことかな、とか」
「選択肢としては、それもあるでしょうね」
「じゃ、そうじゃない場合もあるってこと?」
「それは、わたしにもわからないけど」
「同棲から結婚、って流れだと思ってたから、いきなり同棲やめたいって言ったら、じゃ別れるのか、ってカレに言われちゃうかも」
「それもあるかもね」
「そんな……。わたし、カレと別れたいわけじゃないの」
「それも含めて、カレと話し合ってみたら?」
「うん……」
「今、仮定の話をしてても始まらないよね? わたしは、カレじゃないんだから」
「うん……」

そこへ、ワッフルが運ばれてきた。
あなたはふわふわのワッフルと一緒に、友達の言葉もしっかりとかみしめた。
気のせいか今日のメープルシロップは、ちょっぴり苦い。


【さぁ、どっち? case1 (4)へ続く】







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恋愛小説:さぁ、どっち?

さぁ、どっち? case1 (2)


あなたは休みの日、外に出ていくのが好きだった。買い物、コンサート、スパ、旅行……。
ひとりでも男と一緒でも、あるいは友達と出かけるのでも、なんでも楽しめた。

ところが、最近あまり出かけていない。というのも、インドア派の男につきあっているからだ。
男は休みの日、まず起きるのが遅い。無制限に寝る、と休みの前の夜に宣言して寝るため、むやみに起こすと可哀そうな気がして、あなたは起こすことをしなかった。それが、やさしさだと思っていた。男が疲れているなら、寝かせてあげようと。

そんなわけだから、同じ休みの日でも、先に起きたあなたが洗濯をするのが当然になってしまったのだ。
男は早くて九時。遅いときは、昼まで寝ていた。
最初のころは、男がいつ起きるかわからないので、ふたり分朝ごはんを用意して待っていたのだが、そのうち「朝は食べないから」と男に言われ、あなたはひとりで作ってひとりで食べるようになった。
男は起きると、アイスコーヒーだけ飲んだ。

そして、昼ごはん。
「たまには外食でもする?」と、あなたが誘うと男は「いや、うちでいいよ」と言う。かといって、自分で作るわけではない。結局、またあなたが作って、洗い物をして、が昼、夜と続くだけ。

男は昼ごはんが済んでも、マンガを読んだり、DVDを見たりしているだけで、一向に動こうとしない。
「ねぇ、午後からどっか行かない?」
あなたは努めて明るく声をかける。
「俺はいいや。ひとりで行ってくれば」
気のない返事にがっかりしてあなたは、ひとりで出かけることにする。

「わかった。じゃ、夕方には戻るから、洗濯物、よろしくね」
一種の賭けだった。あなたが帰ってきたとき、洗濯物がちゃんと畳まれていたら、合格。

「じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい」


【さぁ、どっち? case1 (3)に続く】






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恋愛小説:さぁ、どっち?

さぁ、どっち? case1 (1)


あなたは、寝苦しさで目が覚めた。冷房も切れている。
枕元のケータイを手に取る。午前二時。
一応、お肌のゴールデンタイムは過ぎたから、今から起きていても問題はない。

隣のベッドからは、気持ちよさそうな男の寝息が聞こえる。
「この人は地震が起きても気付かない人だから」
この暑さでよく寝られるものだ、と半ば呆れながらも、少しうらやましくなる。

もう一度冷房をつけ直そうかと思ったものの、喉の渇きを覚えたあなたは、隣の男を起こさないように電気もつけず、そっとキッチンに向かった。
冷蔵庫を開けると、飲みかけのペットボトルを取り出し、そのまま口をつけて飲み干す。水がやっぱり一番美味しい。

あなたはベッドへ戻ると、ケータイを触り出す。新着メールは、ない。まぁ、この時間だし。
やはり暑さに耐えられず、冷房のタイマーを入れる。
隣のベッドの男は微動だにしない。少し腹立たしくもあった。

男と暮らし始めて、三か月が経とうとしていた。お互い独り暮らしだったので、家賃が浮くから、という名目の同棲。
あなたのほうが広いマンションに住んでいたこともあって、男が契約更新のタイミングで更新せず、あなたの部屋に転がり込んできた。

最初のうちは、とにかく新鮮で毎日が楽しかった。
ふたりとも働いていたので、家事は分担することにした。
料理をあなたが作って、男が洗い物をする。休みの人が洗濯をして、もう一人が畳む。掃除は気づいたときに、気づいた方がする。ゴミ出しは、水曜が男、土曜があなた。
そのくらい決めておけば、あとはなんとかなると思っていた。

でも、いつの間にか、男が家事をあまりしなくなった。要するに、あなたに甘えていたのだ。
食事が終わっても、いつまでも寛いでいて、一向に洗い物をしない男に何度あなたは注意したことか。そのたびに「今しようと思ったのに」と不服そうに言う男。
いつまでもそのままにしておくと、汚れがこびりついてしまうし、何よりキッチンがいつまでも片付かないのが、あなたにはとても苦痛だった。
しびれを切らしたあなたは、黙って洗い物を始めることが多くなった。言っても嫌な顔をされるのなら、言わずに自分でしたほうがストレスにならない。
こうして、なし崩し的に料理も洗い物も、あなたがひとりでするようになってしまった。

洗濯についても似たようなものだ。お互い同じ日が休みだと、必ずあなたがする。いつか黙っていてもやってくれたらいいな、とあなたは期待した。だが、今まで一度もそんな日は訪れなかった。

この人と結婚したら毎日こうなるんだろうな。
あなたは男との未来に、いくらか失望するようになった。


【さぁ、どっち? case1 (2) に続く】








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cafe sanur

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